冷涼なベトナムの高原での低コスト生活

私の友人であるアメリカ人のジョンがダラット移住したので、興味がありインタビューしました。
ジョンは、ワシントン州のオリンピア出身で63歳です。オートバイ愛好家で、2013年にベトナムでバイクを乗り回すためにやってきました。

彼は、初めて訪れたときから、ベトナムの中央高原のダラットに住みたいと思っていました。
「ダラットに移住した理由はベトナムで発見したアメリカ太平洋岸北西部に最も近い場所だからです。地形、樹木、気候が母国を思い出させてくれます。母国との唯一の違いは、ダラットの雨期は冬ではなく夏に来ることだけです。」と彼は言いました。しかし、違いはそれだけではありません。ダラットでは、ジョンが住んでいる4階建家屋の家賃353米ドルを含んでも母国の4分の1のコストで幸せな老後生活を送れます。
「休暇のために来ていた人の多くが移住を決意して、ダラットに住んでいますが、私も同じです。初めはダラットがとても美しい土地だと聞いて見に来ただけです。まず驚いたのが、食べ物がとても安くて美味しいことでした。そして、人々は友好的で、涼しい気候は快適でした。オリンピアに帰ってから1年と3日後にベトナムに戻り、ダラットに移住しました。」
熱狂的なバイク愛好家として、ヘルメットの着用が常識だと思っていましたが、最初のベトナム旅行で、ヘルメットを着用しない子供達と出会い、ヒヤヒヤしました。「ベトナムに移住する直前に不動産を売却して、得たお金でダラットの子供たちにヘルメットを寄付すると友人に言って回りました。結局、売却益は8,000米ドルほどになり、ヘルメットを購入するために寄付しました。ダラットの中でも貧しい学校を2校選び、すべての子供と、教師、校長、管理人を含む大人にヘルメットを寄付しました。合計で750個のヘルメットを寄付しました。
ジョンは地元の子供たちにヘルメットをプレゼントした「ベトナム人の心を持つアメリカ人」として地方役場に飾られている写真を誇りに思っており、その後もウェブサイトでヘルメットの大切さを伝えています。
ダラットの人口は約20万人で、そのうち外国人は約200人ほどですが、たくさんの西洋風のレストランや外国人向けのアクティビティがあるので簡単に友達を作れます。
「毎週金曜日の夜と毎月第1土曜日の午後に、外国人が集まるサークルがあります。会場は毎回違いますが、ダラットの外国人グループに入れば連絡を受けることができます。他にも外国人とベトナム人が参加しているオフロードバイクのサークルがFacebookを使って活動しています。」
その規模にもかかわらず、ダラットが持つ小さな町の雰囲気と強いコミュニティー意識をジョンは愛しています。
「交通事情も良く、10分程度あればどこへでも行けます。また、家族経営のお店もたくさんあって、何度か訪問すれば、店員さんはあなたの顔と欲しいものを覚えてくれます。昨年、私は病気になって5ヶ月間も外出ができない時期がありましたが、病後に外に出かけると、しばらく顔を合わせなかった人たちが復帰を祝ってくれました。」
ダラットは湿度の高いホーチミン市から北東に180マイル(約290キロ)ほどの距離ですが、標高が5,000フィート(約1,500メートル)あり、年中穏やかな気候です。町は丘陵で、山々、滝、松林に囲まれていて、昼間の年間平均気温は23℃ですが、夜間は14℃まで冷え込みます。散歩やサイクリングなどのアウトドア活動に適していて、町中に公園や湖、花園があります。活気のある都市とは言えませんが、平和と静けさを楽しむには理想的です。
「私は今、都会の活気とはかけ離れた生活をしています。バイクに乗って近所を走ったり、丘陵の散策を楽しみます。1時間以内の距離に滝が10か所もあり、市内から6マイル(10キロ)離れたチ マット村にはリン フック寺という素晴らしい寺院があります。そして、ほとんどの時間を、交通量の少ない小さなレストランやカフェでお茶を飲みながら、のんびりと暮らしています。」
ジョンは朝食は自宅で食べますが、昼食と夕食は外で食べます。ダラットでは安くて美味しい食べ物が簡単に見つかります。「ほとんどがベトナム料理で、近所に大好きなベジタリアンレストランがあります。コム カレーというカレー屋に行けば、カレーとご飯のセットがたったの88セントで、テーブルのお茶は無料です。1.1ドルも出せばチャーハンが食べられます。西洋料理を食べたいときには、一番好きなワン モア カフェに行きます。ガールフレンドと2人分で約11ドルですが、とても美味しいです。」
ジョンは仏教寺院の庭園の先にある広々として近代的な内装の家に住んでいます。家はベトナムの標準的な造りで、4階建の各階に1つの部屋があり、ヤシとユーカリを眺める窓と大きな2つのベッドルーム、近代的なキッチンが付いて、家賃は月353ドルです。「とても広々とした良い建物で、各部屋にプライバシーがあり、多くの好きなレストランやお店には徒歩で行けます。オリンピアであれば、月1,200ドルは払わなければなりません。」
他の費用も安くて、高地なので暖房やエアコンもいらず、水道、ごみ、インターネット、電力などの公共料金は月にたったの30ドルです。週に1回来てくれる家政婦は月に28.7ドルです。生活費を合計すると、一緒に暮らしているガールフレンドとその娘の生活費を含めても月に約1500ドルで、ダラットの生活費はおそらくオリンピアの4分の1程度です。
ジョンはダラットでの新しい人生を満喫していて、「もうダラットに2年半住んでいますが、ワシントンに帰ることは想像もできません。私はダラットの気候、地形、街の雰囲気、景観を愛しています。また、大きな外国人コミュニティがないので、何日も他の西洋人の顔を見ずに過ごせることも、ベトナムで生活している気持ちにさせてくれます。」