ベトナムの日系レストランで働くには調理師免許は必要ない

先日、個室のお客様より呼ばれることがあり、久しぶりにお客様とお話をしました。
そのお客様は4名様の家族で、構成は父・母・息子2名(高校生・中学生)でした。
お父様とお母様からの質問が多かったです。何を話したかというと、料理の話から私の身の上話が大半でしたが、どうやら高校生の息子さんが海外で働く料理人を目指しておられるようでした。(はっきりと言われてませんでしたが)
高校生の息子さんが私の話に真剣に耳を傾けているように感じたのは、海外で料理人として働く方法について話している時でした。

海外で料理人として働きたい人にとっては、調理師免許など、どういった資格が必要なのか気になるようですので、わかる範囲で説明いたします。

先ず、日本で飲食店を開業する際に調理師免許もしくは調理師免許を取得している人が必要かどうかという初歩的な話をさせて頂きますと、ご存知の方も多いかと思いますが必要がありません。どこどこの高級料亭の板さんが調理師免許を取得していないと言うことも有り得る話です。しかし、日本で飲食店を開業するにあたり、保健所で講習を受けて「食品衛生責任者」と言う資格を取得する必要があります。
「じゃあ調理師免許は何なの?」と思われる人がいるかと思います。それは食品衛生責任者の上位資格だと考えて頂いても問題ありません。(厳密には違いますが)

で、タイトルにある「ベトナムの日系レストランで働くには調理師免許は必要ない」についてお話をします。
「なぜ必要ないのか?」と言うと、料理人の免許が国家資格としてある国というのが世界的に見ても珍しいためで、料理人は免許など持っていなくても当たり前だと思われており、問題ないことが挙げられます。
しかし日本の調理師免許取得条件に2年以上の実務経験があることから、ベトナムでは日本の調理師免許を取得していれば就労ビザを取りやすいと言う側面があります。そのため、調理師免許は必要ないが、取得していれば尚良いと言うことになります。
就労ビザの話が出たので、簡単に就労ビザについて話します。ベトナムで働くには就労ビザが必要になります。就労ビザの取得条件に大学卒業以上で実務経験3年以上、もしくは1年以上の訓練と実務経験3年以上というのが有ります。大学を卒業していれば、調理師免許の取得が必要条件になりませんが、大学を卒業していなければ調理師免許取得があるに越したことがありません。

ベトナムのように働く際に就労ビザ取得が必要で、取得条件が厳しい国で仕事をする場合は調理師免許を持っていれば何かと便利です。

就労ビザの側面から言うと調理師免許はあった方が良いのですが、採用時に問われるのは調理師免許の有無ではなく経験と技術です。日本と違って海外では、調理場に自分以外の日本人がいないことがよくあります。なので、経験がなくては、何かあった時の対応が出来ません。また技術がないと、現地スタッフに教えることが出来ません。
このことからベトナムや海外で料理人として働くには調理師免許よりも経験や技術が必要ということです。

実際、私が今の日系レストランに勤める前に、弊社を含めて3社面接を行っていただきました。その中で履歴書に記載しているから調理師免許の有無を確認されましたが、コピーですら提出をするように言われたことはありませんでした。また募集条件に”調理師免許”というものもありませんでした。
(就職が決まってから、就労ビザを取得する際に大学卒業証明と一緒に提示はしましたが)