世界で稼ぐ日本のお菓子ブランド①

11月11日はポッキー&プリッツの日です。認識レベルとしては、プリッツよりもポッキーなので、ポッキーの日と覚えている人の方が多いと思います。出身が大阪とはいえ、江崎グリコさんから何も頂いていませんが、昨日の仕事終わり(1時過ぎ)にスタッフ全員にポッキーを配りました。ベトナム人スタッフは「日本のお菓子だ」くらいにしか感じていなかったようですが、念のため「今日はポッキーの日だよ」なんて何度か言っておきました。

そんな感じで今日は日本のお菓子についてお話しします。

日本で独自に開発された、いわゆる「ガラパゴス」スナックは、世界中のファンを魅了しています。菓子メーカーは、国籍、民族、宗教の違いに合わせて味や販売戦略を変えることで、海外で成功を収めています。

日本の菓子ブランドがバンコクでプレゼンスを確立しています。東南アジアの主要都市の一つであるタイの首都バンコクのスーパーマーケットを訪れれば、棚に占める日本のお菓子の量に驚くと思います。棚に陳列されているのは、グリコのポッキーとプリッツ、森永のハイチュー、カルビーのかっぱえびせん、湖池屋のカラムーチョ(ベトナムでも発売されました)などです。日本で親しまれているパッケージにタイ語で書かれたブランド名が、現地市場にどれだけ食い込んでいるかを証明しています。
日本のお菓子ファンが増えているのはタイだけではなく、シンガポール、台湾、香港、中国、インドネシア、北米、ヨーロッパ、中東などにも拡大しています。海外での日本のお菓子ブランドの成功要因について、森永ハイチューとグリコのポッキーを事例に説明します。
ハイチューは米国で現地化を進めたことで有名です。ハイチューは米国で驚くべき人気を誇っています。ハイチューは日本人の好みに合わせて開発された独特の触感が人気の「ガラパゴス」ブランドを象徴する製品です。ハイチューは、最初に野球のメジャーリーグでチャンスに出会いました。ボストン・レッドソックスの田澤選手が日本から持ってきたハイチューをチームメイトに与えたところ、選手たちはすぐにハイチューのファンになったので、森永は試食サンプルを提供するようになり、最終的にチームとスポンサー契約を締結するに至りました。
同社はその後もミネソタ ツインズ、シカゴ カブスとスポンサー契約をし、NBA(全米バスケットボール協会)のニューヨーク ニックスとも提携しましたハイチューの売上は順調に伸ばし、今では有名スーパーマーケットで定番品となりました。米国在住の日本人とアジア系米国人から人気がありますが、ラテン系米国人のファンも増えつつあります。
ハイチュー成功の秘訣とは、米国でのハイチューの人気はメジャーリーグによるものだけではなく、大きな要因は現地志向のマーケティング活動でした。まずは味に関して説明しますが、ハイチューの基本的な味のラインナップはイチゴ、ブドウ、青りんごです。米国では、これにブラックチェリーとマンゴーを加えました。マンゴー味は、急速に人口が増加しているラテン系米国人をターゲットに米国市場向けに特別に開発された味です。これと同じように中国ではミルクと桃味が販売されています。国、地域、民族の味覚に合わせてフレーバーを開発することで現地化を成功させているのです。
また、パッケージも重要です。米国では、ハイチューの500グラムパックが卸売チェーンのコストコでよく売れています。ホームパーティーを開催する米国人の習慣に対応した大型パックが開発されました。取りやすいように配列したハイチューバッグはパーティー参加者に人気です。
中国では、結婚パーティー用にさらに大きなパッケージで販売されています。逆に低所得層向けに7粒入りの小売パックも販売されています。インドネシアではさらに小さな3ピースパックを販売する計画もあります。森永は、ハイチューの価格をすべての消費者がアクセスできるように設定しようとしています。しかし、競争相手との価格競争を招き、ブランド価値を下げるほど安価にするのではなく、消費者が買いやすいように価格上限を設定したのです。
流通チャンネルは、海外市場参入で成功するための重要な決定要因です。ハイチューの場合、森永はセブンイレブンで試験販売するために最初は台湾の工場から米国に出荷しました。結果は成功で、森永はこれに続いて日系とアジア系のスーパーマーケット向けに流通を拡大しました。さらに消費者の肯定的な反応を確認して、全国のスーパーマーケットに拡大しました。2015年の夏からは米国での需要に応じて米国工場での製造を開始する予定です。森永は消費者にハイチューを米国のブランドと思ってもらうことを現地化の究極目標として設定し、ハイチューを海外市場での成功事例にしようと考えています。