世界で稼ぐ日本のお菓子ブランド②

海外でポッキーファンが拡大しています。現在、江崎グリコは海外30カ国で年間2億箱のポッキーを販売しています。ハイチューと同様に、ポッキーも日本人向けに開発されました。西洋のチョコレートとクッキーをベースにしたポッキーは、2つの素材の組み合わせにより、いろいろな食べ方ができるように工夫しました。
ポッキーの海外戦略は、拡販活動の現地化を進めることです。同社は東南アジア各国で人が集まる場所をターゲットに、ポッキーを楽しいときに食べるイメージの「シェア ハッピネス 」というコンセプトで製品を販売しています。タイでは、ショッピングモールがターゲットですが、大規模な商業施設が少ないベトナムでは、映画館での販売を強化しています。いずれも若い男女が集まって楽しむ場所です。インドネシアでは学校が重要な流通チャンネルで、企業はキャンパスでのアピールを重視しています。インドネシアでヒットした女性アイドルのJKT48をイメージした派手な赤色の宣伝車は、ポッキーのコマーシャルにも使用され、無料のサンプルを配布するために定期的に中学校と高校を訪れます。グリコは早い時期からポッキーファンを獲得するためこういった方法を取り入れています。
グリコはまた、イスラム諸国向けにも現地のニーズを捉えたマーケティング戦略を実行しています。ラマダン月の昼間はイスラム教徒にとって断食の時間ですが、日没後は友人や家族が集まり、深夜まで食事と買い物を楽しみます。グリコは、イスラム教徒の人々が大切にするラマダンの幸福を共有するアイテムとしてポッキーを定着させたいと考えています。グリコが断食後に食べるスナックとして定着すれば、中東だけでなく広範なイスラム社会での大きなヒット商品になるかもれません。

海外で成功した日本のスナックには以下の共通点があります。
1.日本の独特な商品で、外国で似たような製品はありません。
2.現地の味覚や好みに合わせて味を開発しています。
3.パッケージのサイズは、現地の習慣と文化に対応しています。
4.価格は、地域の経済情勢を反映するのではなく、ブランドの魅力を高めるために設定されています。
5.宣伝活動は、現地の習慣、文化、宗教に配慮します。
6.人材は、外国での事業運営に精通し、価格設定と拡販計画を迅速に実行します。
日本企業は、日本独特の商品を開発するために外国の文化や食べ物を取り込み、組み合わせることを得意としています。海外での成功の可能性が高い製品以外にも、日本には多くの独自の製品が存在するものと思います。。
人材に関しては、多くのスナック菓子メーカーは、社内に適切な人材が少ないので、商社や消費財メーカーでの外国業務経験者を採用していますが、将来的には社内で必要な人材育成をしていく必要があります。
多様な人材を確保することは、日本独特の製品を外国市場で販売する上で不可欠です。日本の「ガラパゴス」製品には多くのビジネスチャンスがあり、グローバルなビジネス人材と組み合わせて、世界に引っ張り出してあげる必要があります。